浄土真宗本願寺派における葬送儀礼に関しては『葬儀規範』にて宗門が推奨するあり方が示されています。
この葬儀規範によると、葬場勤行の際は荘厳壇(段荘)を舗設し、その上に五具足を荘厳することになっていますが、その五具足の花瓶の供華は生花ではなく紙華を4本ずつ挿したものを一対用います。
この紙華(紙華花、四華、四華花などとも言う)ですが仏具店でも通常は販売されていないようで、確認した範囲では若林佛具製作所や小堀などのカタログにも記載はありません。
おそらく依頼したら作製してもらえると思いますが、なにも仏具店に依頼せずともホームセンターなどで手に入る材料で簡単に作ることができます。
【紙華の作製に必要な材料】
- 白色または銀色の紙(※金色を用いる宗派や地域もあります)
- 芯となる木棒
- 両面テープ
【紙華の作製手順】
1.紙の準備
紙華となる紙を用意します。
サイズは必要に応じて決めて下さい。
なお、今回の場合はB4サイズで和紙風の模様の入った白色の紙を使用しました。
厚みは若干あり、画用紙程度です。
2.紙を半分に折る
センターより縦長になるように紙を半分に折ります。
3.糊しろを作る
折り曲げた側を更に折り曲げて糊しろを作ります。
糊しろの幅を広くすると芯に貼り付けにくくなるので、幅はあまり必要ではありません。
今回は両面テープを使い芯へ貼り付けるので、糊しろは両面テープのサイズである15mmとしました。
4.切れ目を入れる
紙の端より糊しろまで均等に切れ目を入れていきます。
この切れ目の幅が完成した際の紙華の幅となりますので好みで調整してください。
これもあまり幅広にすると芯に貼り付けにくくなります。
今回は25mmとしました。
5.芯を用意する
紙華の芯にはホームセンターなどで売ってある丸い木棒を用います。
木目のままでもいいのですが、今回は事前にスプレーで銀色に着色した木棒を使用しました。
サイズは使用する花瓶に合わせて選びます。
今回は、直径15mm×長さ600mmの木棒を使用しました。
6.芯に紙を貼り付ける
芯となる木棒に切れ目を入れた紙を螺旋状に貼っていきます。
木棒の先端より斜めに角度をつけて貼っていきますが、この角度によって完成した紙華の開き具合が変わります。
今回は60度ほど傾けて貼り付けました。
なお、貼り付けには接着力が強力タイプの両面テープを使用するのが簡単かと思います。
7.紙華の完成
紙華の完成です。
芯の下部は花瓶の中に入り見えませんので一番下まで貼り付ける必要はありません。
紙華は4本ずつ一対の計8本必要ですので、同じ作業を繰り返し必要な本数を作ります。
なお、紙華の保管には適当な発泡スチロールに刺して保管するのが簡単です。
【紙華の由来】
インドのクシナガラにある沙羅の林の中でお釈迦さまが入滅された時、お釈迦さまの病床の四方に二本ずつ生えていた沙羅の木が、まるで鶴のように真っ白に枯れたという故事にちなんでいるそうです。
なお、ここで言う沙羅の木はインド原産の30メートルにも育つ常緑高木であり、熱帯性の為に日本の屋外で育てることはできません。そこで日本では、ツバキ科のナツツバキをサラノキと呼び、本物の沙羅の木の代替植物として寺院などで植えられています。したがって日本で言うところの沙羅は別種となります。
~インド産の沙羅の若木~